カプコンが設けている格闘ゲーム大会規定のなかに、コントローラーについての記述があります。昨今多様化している入力デバイスにおいて仕様的に大会での使用がNGとなったりする場合があり、自作勢としてはその辺り気になったりするので整理していこうと思います。間違ってる部分あったら教えて下さい。
CPTルール(2023年11月30日 v.1.02)
個人で遊ぶくらいであればこのルールは基本的に無視しても問題ありません。大会に出場する場合や、CPTルールに準拠した対戦会に参加する場合はこのルールに従う必要があります。
ルールは適宜更新されていくものであり、以前見たときとルールが変わっている、という状況もあるので大会前などはしっかり確認しておきましょう。
コントローラー利用規定
使用できるコントローラーについて規定があります。また、カスタマイズもルールの範囲内であれば適用を認められています。
今回はこのカスタマイズについて整理していきます。
カスタマイズの基準はPS5標準コントローラーのDualSense
3. コントローラーのカスタマイズ
カスタマイズとは、ボタンやレバーの物理的な場所の変更や、コントローラーそのものを作り出すことを指す。また、PS5標準コントローラーである、DualSenseの機械的な能力を超えたカスタマイズは、身体の特徴を考慮する、そうせざるを得ない特別な理由がない限り禁止する。
カスタマイズの基本的な考え方としてはDualSenseのコントローラーがベースとなります。
機械的な能力については以下のように定義されています。
2.8. 機械的な能力:ボタンやレバーの数。アナログスティックの感度のこと。
マクロやターボなどは当然禁止
言わずもがな、マクロ、ターボ(連打機能)、認められない複合入力、あるいはそれに類推する機能については禁止する。
記載の通りです。
昨今人気のPUNK WORKSHOPのレバーレスにおいて、入力最適化モードが実装されていますが*1、「入力を最適化するモード」という記載のみで具体的な内容は不明ながらマクロ、またはマクロに相当する機能が含まれる可能性があります。こちらの動画を見ると、入力していない部分を自動で入力しているようなので、この機能はマクロと同義と考えて良さそうです。CPTルールに則って参加する場合はこの機能は使用しない方が良いでしょう。
【攻撃行動】攻撃に割り当てられるボタンは最大11個まで
4.1. 攻撃行動
攻撃行動として使用できる入力系統は最大11個までとする。ただし同じ攻撃行動を複数の入力系統に割り当てることはできない。例えば、弱パンチボタンを2つ以上設置することは認められない。攻撃行動の入力系統が11個を超えるコントローラーを使用する場合は事前に不要な入力系統を攻撃行動として使用できないようにする措置を行わなければならない。なお、ゲーム中の『コントローラー設定』で攻撃行動の入力として使用できない入力系統(DualSenseのPSボタン、ミュートボタンなど)については上記対象とならない。
攻撃行動に割り当て可能なボタンは最大11個まで。ただし、同じ行動をするボタンは1個まで。現行のCPTルール自体「ストリートファイター6」のために用意されたものということもあって、モダンとクラシックそれぞれで攻撃行動が定義されており、それぞれ割当可能な攻撃行動は異なります。
モダン | |||
---|---|---|---|
弱攻撃 | 中攻撃 | 強攻撃 | 必殺技 |
ドライブパリィ | ドライブインパクト | アシスト | |
弱+中 | 弱+強 | 中+強 | 弱+中+強 |
強+必殺技 | アピール | アシストサウンド | |
クラシック | |||
弱パンチ | 中パンチ | 強パンチ | |
弱キック | 中キック | 強キック | |
弱P+弱K | 中P+中K | 強P+強K | |
弱P+中P | 弱P+強P | 中P+強P | 弱P+中P+強P |
弱K+中K | 弱K+強K | 中K+強K | 弱K+中K+強K |
アピール | 同時押しアシスト | アシストサウンド |
上記の攻撃行動からモダン、クラシックでそれぞれ最大11ボタンに割り当てることが可能です。
【移動行動】解釈次第で色々変わりそう
この移動行動が解釈によって、現場のスタッフによっても判断が変わってきそうな部分です。
4.2. 移動行動
移動行動を方向キーやレバー、アナログスティックではなく、ボタンとして適用するものを移動ボタンと呼ぶ。移動ボタンと方向キー・レバー・アナログスティックは共存して設置できるが、その場合は対価として、対応する移動行動の入力を失わなければならない。例えば、上方向だけを移動ボタン化した場合、レバーの上方向の入力は無効化しなければならない。4.2.1. 移動行動として使用できるデジタル入力系統は最大4個までとする。これは上下左右方向への割り当てを意図するものである。設置数の範囲内であっても、同じ移動行動を複数の入力系統に割り当てることはできない。例えば、上方向の入力ボタンを2つ以上設置することはできない。
4.2.2. 移動行動ができる方向キー、レバー、移動ボタンと、アナログスティックは共存して設置することができる。ただしアナログ入力による移動行動はアナログ情報のまま入力を行わねばならない。例えば、アナログスティックをボタン化したりレバー化したりするなどの機械的な能力の変換を行うことは認めない。
上記をまとめると組み合わせとして可能なのは以下のような条件となります。
No. | 入力系統*2 | 備考 |
---|---|---|
1 | 移動ボタン+方向キー | 同方向設置は不可 |
2 | 移動ボタン+レバー | 同方向設置は不可 |
3 | 移動ボタン+アナログスティック | 同方向設置は不可 |
4 | 方向キー+レバー | 同方向設置は不可 |
5 | 方向キー+アナログスティック | |
6 | レバー+アナログスティック |
方向キーとは別に背面ボタンに方向キーを割り当てられるパッドがあるようですが、その場合はNo.1やNo.3に該当するため、方向キーやアナログスティックの同方向を無効化する必要があります。ときど氏のYouTubeに出演したキチパ氏のパッド設定では、背面ボタン(=移動ボタン)とアナログスティックの組み合わせで同方向の設置をしていますが、上記ルールに則るとNGということになりそうです。
方向キーと移動ボタンの境界線も少々気になるところで、例えばNintendo SwitchのJoy-Conはそれぞれが独立した移動ボタンになると思うのだけど、そうなると同方向設置不可となるので移動ボタンかアナログスティックのどちらかの同方向を無効化しなければなりません。
個人的な解釈としては構造的に上下、左右、それぞれ反対方向に同時に押下できるかどうかで
- 押下できる→移動ボタン
- 押下できない→方向キー
このルール自体がDualSenseをベースにしていることを考えるとこんな具合かなと。今後SwitchでCPTルール適用タイトルが出てきたら厄介なことになりそうです。
また、「機械的な能力」の定義が「ボタンやレバーの数。アナログスティックの感度のこと」とされていますが、「機械的な能力の変換」の解釈が難しく、アナログ入力可能なボタンやレバーだったらOKなのかなど少々曖昧なところもあります。
ちなみに、アナログ←→デジタルの変換は移動行動でのみ制限されており、攻撃行動においては制限されていません。
【移動行動の同時入力】
4.2.3. 移動行動の同時入力
上下及び左右方向の同時入力については下記仕様のみ認める。
・上下方向が同時に入力された場合 両方の入力を維持、もしくは両方の入力を不成立とする必要がある。
・左右方向が同時に入力された場合 両方の入力を維持、もしくは両方の入力を不成立とする必要がある。上記以外で、攻撃行動もしくは移動行動の入力情報を不成立とする機能を追加してはならない。例えば強制的にニュートラル状態とするボタンを増設してはならない。
移動行動をボタン化したり、複数の入力系統を利用した場合、上下または左右を物理的に同時入力することが可能になります。その際にコントローラー側の仕様として相反する移動行動を同時入力した場合は「未入力状態(ニュートラル)」または「両方が有効の状態」にする必要があります。
これについては最近のコントローラーではCPTルール用のモードが備わっていることが多いと思うので、それ用にセッティングすれば大丈夫です。該当する設定ができない場合はSOCDクリーナーなどを用いる必要があります。
タイトルによっては左右の同時入力を「未入力状態」、上下の同時入力は「上優先」とするルールの場合があるので、複数のタイトルの大会に出る場合は注意が必要です。