はじまりはビープ音

ドリームキャストのことを中心にゲーム関係の気になったことを書いていくつもりです。

基板を作れなくても自由な配置にできる薄型レバーレス自作してみた

薄型レバーレスを自作しててちょっと気になったことがあったので。ちなみに、ここで言う薄型レバーレスとは本体部分の厚さが大凡20mm以下のものを指します。

目的

基板から作らなくても自由な配置で薄型レバーレス(本体20mm以下)を作れる状態を目指す。

薄型レバーレスの問題点

自分が作っていた「Mille-feuille」を含め昨今GP2040-CEを使った薄型レバーレスが様々登場していますが、ほぼすべて基板にキースイッチを取り付けるタイプです。構造上、薄く仕上げるにはそれがベストだからです。

つまり自分好みの配置のものを作るには基板から作らなければなりません。kicadなどを使って基板作成に慣れていれば難しくはありませんが、敷居としてはどうしても高くなってしまいます。なので、その基板を作成をせずに薄型レバーレスを作るにはどうすれば良いかと考えました。

解決策

普通、薄型レバーレスを作る際は天板パネルも同時に作ります。であれば、どのみち必須となる天板パネルを作るだけで好きな配置の薄型レバーレスを作れるようにしてしまえば良いのでは? 国内でもアクリル加工業者いくつかあるので基板から作るよりだいぶ敷居も下がるのでは? 普通のアケコンとか同様に天板パネルをお好みの配置で作るのと同じじゃん? と考えてみました。

とはいえ、そうなったときに問題となるのがキースイッチの固定方法です。

薄くない通常のアケコン・レバーレスの場合は天板パネルにボタンを嵌めて固定することで解決できますが、それはそれで問題が発生します。市販されている三和・セイミツ等のボタンは、厚みは30~35mm程度と厚く、さらにファストン端子分の高さも必要です。つまり薄型にできません。

薄型でも同じように取り付けられるようなものがない。であれば作ってしまえ、ということで薄型のボタンを3Dプリンタで自作してみました。

厚さは一目瞭然。全高約15mmで作れました。ボタンサイズは24Φと30Φの両方作りました。

CherryMX系のスイッチを取り付けられるボタンはGamerFingerをはじめいくつか種類が存在しますが、CherryMX系だとボタンの高さがどうしても出てしまうためスイッチはkailh choc v1のロープロファイルを使ってます。構造的にはchoc v2/GHOSTも使用可能です(キャップは作ってない)。ついでにchoc v1のストロークは3.0mmですが1.8~2.0mm程度になるような構造にしてあります。

また、高さが出てしまうため基板に直接ファストン端子を取り付けられるような設計にしています。なお、今回ネジ式で作っていますが、厚さは1~2mm程度の天板パネルに取り付け可能です。

実際に薄型ボタンを使って薄型レバーレスを作ってみた

さて、ボタンを作ったところで肝心のガワ(ケース)がなければ意味ありません。というわけで3Dプリンタで作ってみました。ガワに関しては適当なケース買うのでもok。アクリルもそれに合わせて適当なボタン配置で作成。

制御基板となるGP2040-CEの基板とBrook P5mini Fighting Boardを使える基板も作ってみた。制御基板についてはRaspberry Pi picoやBrook UFB(薄くするなら工夫は必要)などでも代替できるので必ずしも作る必要はありません。各種コネクタ、PS Passthrough用のUSB端子やOLEDなどをひとまとめにしておきたかったので作っただけです。

ボタンと制御基板をつなぐ配線も用意してちまちまと配線作業。面倒です。もうちょっとキレイにしたかった。今回は厚さ2mmのアクリルに取り付けました。

完成

サイズは250 x 180 x 17.5mm(ボタン部分含む)。今回はB5ノートサイズ程度で作りたかったのでその範囲で作りました。GP2040-CEで使う基板側のコネクタの高さの都合で想定よりちょっと厚くなってしまいました。

GP2040-CEではPS Passthrough機能を使っているのでPS5にも対応しています。P5mini版もありますがこちらも当然PS5対応です。

天板イラストは毎度おなじみ、まごやまさん @mago_oowarawaによるイラスト。

総評

良かったところ
  • 基板から作らなくてもガワと天板を用意するだけで好きな配置で薄型レバーレスを作れる(配置が気に入らなければ天板だけを作り直せば良い)、というベースを作ることができた
  • 市販ボタンと交換できるサイズ(24Φ、30Φ)でkailh chocを使えるボタンが作れた
  • 当初の想定通り薄型レバーレスと言える範囲で作れた
悪かったところ
  • 薄く作る=ケースの体積が減る=ケーブルを詰め込むので中身が窮屈になりがち
  • 基板から作れる身としてはケーブル準備と配線作業が非常に面倒
  • 3Dプリンタでボタンを作っているので、素材によってはスクリュー部分の噛み合わせが悪く、付け外ししにくい
  • ボタンに取り付けてる基板が0.6mmと薄く強度が弱いため、ファストン端子取付時の扱い方によっては基板が折れる
  • そもそもこうまでして薄型欲しい人の需要なさそう

今回ボタンと制御基板を繋ぐ配線用のケーブルは、長さ調整も必要だったため自前で用意しました。久しぶりにやりましたがファストン端子の圧着作業などかなり面倒でした。正直同じ作業は二度としたくない。ガワ(ケース)の大きさ次第では市販されている圧着済みのケーブルを活用すればこの作業は飛ばせるので楽になると思います。

今回作ったものをキット化して販売することも考えましたが、思いの外配線作業が面倒だったので見送りに。まぁ20mm以下にこだわりたい人ってそんなにいないと思うので、PUNK WORKSHOPなどの既製品の天板パネルを変える形で良いと思います。

また、今回含めこれまでいくつかのレバーレスを作ってきて改めて感じたのは、ボタンは円形である必要性がないし、キーボードのキャップ使って配置さえ工夫すれば間隔もキーボード同様で問題ない、むしろ指の移動が少なくできるので指の負担が少なく疲れない。なので今後は従来のアケコンベースのレバーレスよりキーボードベースの方優先して考えていこうと思いました。

pomegd.hatenablog.com

余談

というわけで微調整したもの貼っておきます。