はじまりはビープ音

ドリームキャストのことを中心にゲーム関係の気になったことを書いていくつもりです。

「ドリームキャスト パーフェクトカタログ」の誤植、事実誤認など

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株式会社ジーウォーク刊の「ドリームキャスト パーフェクトカタログ」(前田尋之氏監修)を買ったのでいろいろ眺めているのですが、ある意味期待通りでした。

ドリームキャスト パーフェクトカタログ」とは

家庭用レトロハードをハードウェア、ソフトウェア両面から徹底解剖する好評シリーズ「パーフェクトカタログ」
最新刊はセガ・エンタープライゼス(現:セガ)が最後に発売した家庭用ゲーム機、ドリームキャスト
プレイステーションとの熾烈なシェア合戦で得た治験を元に最後のリベンジに挑戦した同社の、ドリームキャスト開発から販売にかけた様々なエピソードを豊富な写真資料をもとに多角的に紹介。
ドリームキャストの魅力をソフト・ハード両面から迫るパーフェクトカタログをお届けします。

B5の大判サイズで192ページ!
ドリームキャストを語る上で貴重な資料になること間違い無しのパーフェクトカタログです。

※商品ページより引用

同シリーズの問題点

多数のゲームハードで「パーフェクトカタログ」シリーズを展開していますが、いくつか指摘がされています*1

  • 誤植や事実誤認など内容の間違いが多い
  • ネットの画像の転載

特にフェイク画像に踊らされて、その画像を転載した挙げ句、未発売ソフトを発売したと掲載してしまっているのには残念過ぎます。そういうこともあって、前田尋之氏のパーフェクトカタログシリーズとしてドリームキャスト版が発売されることに大きな不安がありました。

ドリームキャスト パーフェクトカタログの誤植、事実誤認など

とりあえずざっと見てみました。初版の内容を基にしています。重版したら修正されている場合があります。

頁数 該当箇所 指摘内容
ドリームキャストの全モデル&国内外ソフトを写真・索引付きで掲載!!」 販売していた本体カラーバリエーションとしてはD-DIRECTの「カスタム・ドリームキャスト」は載っていません*2
P008 「親会社であるCSK(現:KCSK)の故・大川功会長が……」 現:SCSKです。
CSKは2011年2月、住友商事により子会社化。住商情報システム(SCS)が吸収合併してSCSKとなりました*3
P012 「必ずしもWindows CEを使用する必要はなく、Windowsに頼らず独自開発をしたソフトメーカーも存在した。」 多くがWindows CEを使用したような書き方ですが、むしろWindows CEを使用したタイトル・ソフトメーカーは全体数で見るとかなり少ないです*4
P013 「現代のゲーム機のようにゲームを終了してメインメニューに戻ることはできない。」 「ゲームを終了してメインメニューに戻る」ことはできます。本体取扱説明書にも記載されています。
ゲーム中にA+B+X+Y+スタートを押すことでタイトル画面に戻り、タイトル画面で続けてもう一度コマンド入力するとメインメニューに戻れます。なんなら本体のオープンボタンでメインメニューに戻れます。
ゲーム中に一時的にメインメニューを表示したあとゲームを再開、というのであれば基本機能としては存在しません。たぶん、言いたかったのはこちらなのかなと。
P016 「Katanaはドリームキャストのコードネームであり、当時セガ社内で2種類のハードが進められていたうちのひとつである。」 当時サターンの次世代機として「DURAL」と呼ばれるプロジェクトが進められ、日本では「GUPPY」、アメリカでは「BLACK BELT」としてそれぞれで開発研究が進められていました。最終的に「GUPPY」の方で進められることになった際に、これらのプロジェクト名を一新して「KATANA」と名付けられたそうです*5
P028

Hello Kitty ドリームキャストセット
「1998年11月25日 34,800円」

「Hello Kitty ドリームキャストセット」の正しい発売日は1999年11月25日です*6
P030 CX-1
「2000年3月」
3月は予約開始の時期です。発売は2000年5月末(日付は不明)です*7
P031 NAOMI
「1998年3月」
1998年3月時点ではNAOMI自体発表されていません。同年9月のAMショーにて初披露され、アーケードで稼働し始めたのは同年11月以降です*8
P035

ネオジオポケット接続ケーブル
CAPCOM VS. SNK ミリオネアファイティング2001』

正しくは 『CAPCOM VS. SNK 2 ミリオネアファイティング2001』。カプエス2ですね。
P036

アスキーパッドFT SNK Ver
SNKから発売されたバージョンのアスキーパッドFT。」

発売元はアスキーです*9
P036

アスキーパッドFT SNK Ver
「3製品ともビジュアルメモリを装着できないので割り切った人向けといえる。」

ビジュアルメモリは装着できます。
P036 アーケードスティック
写真
掲載されている写真は欧州版のアーケードスティックです。日本とUS版はロゴ部分が白ではなく黒で、渦巻と文字ロゴの配置関係も異なります*10
P039 ドリームキャスト・マウス
ドリームパスポート プレミア」
正しくは「ドリームパスポート プレミヤ」です*11。ディスクケース(バックインレイ)にも記載されています*12
P041 ドリームキャスト・キーボード
写真
ドリキャスロゴに渦巻がない写真を掲載していますが、実際に販売されたものは右上に渦巻を含んだドリキャスロゴが入っています*13。なお、渦巻が入っていないものとして欧州版のキーボードがありますが、その場合は日本未発売のテンキー付きのものです*14
P042 「国内、海外での発売状況チェックに最適」 P178の見出しがこのページに使われてしまっています。
P042 ドリームパスポート プレミア」 正しくは「ドリームパスポート プレミヤ」です*15。ディスクケース(バックインレイ)にも記載されています*16
P052 「発売日に同時リリースされたのは『バーチャファイター3tb』をはじめとする5タイトルであった。」 ローンチタイトルは「バーチャファイター3tb」「ゴジラ・ジェネレーションズ」「ペンペントライアイスロン」「July」の4タイトルです。
P072 ストリートファイターⅢ ダブルインパク
豪鬼やギルといったキャラも最初から使える」
最初から使えるのは2ndの豪鬼のみです。ギルの使用はアーケードモードのクリアが条件です。
P094

CAPCOM VS. SNK ミレニアムファイト2000
カプコンSNKのクロスライセンスによって作られたコラボタイトル第3弾。対戦格闘ゲームでは初の作品だ。」

両社クロスライセンスによる対戦格闘ゲームは本作が初ではありません。
ネオジオポケットカラーで発売した第2弾の「頂上決戦 最強ファイターズ SNK VS. CAPCOM」が初です。
P102 ギルティギアゼクス
「一撃必殺こそなくなったものの……」
一撃必殺はなくなっていません。
P121 シーマン 禁断のペット 2001年対応版
「2001年8月10日」
これは公式のリスト自体が間違ってますが、正しい発売日は2000年8月10日です。
P121

シーマン 禁断のペット 2001年対応版
画像

タイトル画面、ゲーム中の画面が無印「シーマン」のものをそのまま使っているようです。ゲーム中の画面はともかくとして、本来タイトル画面は無印版と2001年対応版では若干異なります。

P148

エンジェル・ウィッシュ 君の笑顔にチュッ!
紹介テキスト内容

記載のストーリー・設定紹介がPC版(18禁)の内容になっています。記載されているような18禁的な設定はドリキャス版では変更されています。
P149 アンダーディフィート
ジャケット画像
非公式のCDケースタイプのジャケットを掲載しています。本来のケースはトールサイズ(DVDケース)です。誰かが勝手に作ったネット上の画像を流用しているようです。
P181 全世界ソフトリスト
ジェットセットラジオ
Jet Set Radio
日本の次に販売されたUS版は「Jet Grind Radio」というタイトルで販売されています*17。最後発の欧州版では「Jet Set Radio」なので間違いではないですが、「Jet Grind Radio」も併記するのが正しいと思います。
P189 50音索引
電幻天使対戦麻雀 シャングリラ
恐らくタイトルロゴやジャケット周りに英語表記で「CYBER ANGEL MAHJONG BATTLE」とあるので「サイバー~」で「さ」の欄に記載されていますが、ドリマガでは漢字をそのまま読み「でんげんてんし」で「た行」に入っています。なお、当時のプロモーション映像では「でんげんてんし」と読んでいるので「て」の欄にあるのが正です。
P190 50音索引
21 Two One
「つ」の欄に記載されていますが、正しい読みは「とぅーわん」です*18

※本書では各ソフト紹介とともに「対応周辺機器」「NET対応」「VGA対応」などの記載がありますが、いくつか間違いも含まれています。そもそも基となる公式のデータベース自体が割と曖昧であり、本書における掲載の判断基準がわからないのでスルーします。ちなみに本書において、VGAの非公式対応は「VGA対応」として扱われていません。

良いところ、悪いところ

一応書いておくと何から何まで悪いとは思ってないです。

良いところ
  • 海外タイトルも紹介されている。国内タイトルとの併記は色々と役立つかも。
  • B5判で大きく写真も見やすい(コンプリート ガイドブックでは判型や紙質の都合上、掲載写真が若干暗めで見づらかった)。特にコントローラーのバリエーション紹介一覧の写真の見栄えは良かったと思う。
  • ハードスペックや海外展開の紹介もある。
  • 公式リスト準拠*19ではあるが、対応周辺機器やVGA対応(非公式対応の情報はない)について記載されている。
悪いところ
  • 一部ネット画像を流用している(当時のカタログやウィキメディア・コモンズの画像を使ってる旨の記載はあるが、それ以外の画像も転載したり、説明内容と一致していない画像が使われている箇所がある)。
  • あるものがないと書かれていたり、ないものがあると書かれていたり、誤植含め情報の間違いや粗が目立つ。
  • 本体や周辺機器の掲載基準が曖昧(太正浪漫堂のビジュアルメモリはシルエットで「NO IMAGE」と載ってるけど本体やコントローラの方には太正浪漫堂の情報はないなど)。ソフト紹介についてはセガ公式の一覧準拠という基準が判明したので、廉価版、限定版の紹介がないのも(良し悪しはともかく)納得してます。

最後に

なんとなくドリキャスを知っている人とかゲームやってる人は、こういう書籍は眺めてるだけでも楽しいんですけどね。きっと「細かいこと言うなよ」「面倒くさいやつだな」「この時代にこういうのが出るだけでもありがたいんだよ」とか思われちゃうんだろうなぁ。

誤字脱字は別に良いと思うんですよ(もちろんゼロであった方が良いのは言うまでもないけど)。絶対にミスをしないというのは非常に難しいです。公式の情報でもミスありますし、自分もよくミスしてるし。膨大なデータベースを取り扱っているのである程度は仕方ないと思うところもあります。

ただ、「アスキーパッドFT」や「エンジェル・ウィッシュ」の紹介文や「アンダーディフィート」の画像の件を見ると、んん~…となってしまいます。粗製濫造と言われているのもなんか納得してしまいました。

*1:https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=2934361503519698&id=100008376306732

*2:限定78台のカスタムDC抽選販売開始!D-DIRECT、「3周年ありがとうキャンペーン - 電撃オンライン

*3:CSKを住商情報システムが吸収合併、新会社「SCSK」に - ITmedia NEWS

*4:Windows CE - Sega Retro

*5:「セガい共通テスト」公式対策オンライン講座「セガゼミ」 第1回 コンシューマ:ハード ミヤヒロ先生 - YouTube

*6:Hello Kittyドリームキャストセット 発売のお知らせ

*7:ドリームキャストのゲームも遊べる、個性的なデザインが特徴のテレビ

*8:新・業務用汎用CGボード「NAOMI」

*9:SBG:「CAPCOM vs. SNK」仕様のスティック&パッド

*10:関連・周辺機器 | ドリームキャスト | セガハード大百科 | セガ

*11:家庭用ゲーム機用ブラウザ初! インターネット電話機能搭載 マルチプラットフォーム対応ブラウザソフト “DreamPassport PREMIER”を7月にリリース

*12:File:Dream Passport Premier DC JP Box Back.jpg - Sega Retro

*13:関連・周辺機器 | ドリームキャスト | セガハード大百科 | セガ

*14:ぽめ on Twitter: "単独で販売された国内版、欧州版(左上)のドリキャスキーボード。
国内版では10キーがありません。

*15:家庭用ゲーム機用ブラウザ初! インターネット電話機能搭載 マルチプラットフォーム対応ブラウザソフト “DreamPassport PREMIER”を7月にリリース

*16:File:Dream Passport Premier DC JP Box Back.jpg - Sega Retro

*17:Jet Set Radio

*18:File:21 Two One DC JP Back.jpg - Sega Retro

*19:ソフトウェア一覧(セガ発売) | ドリームキャスト | セガハード大百科 | セガ