はじまりはビープ音

ドリームキャストのことを中心にゲーム関係の気になったことを書いていくつもりです。

【ネタバレなし】「新サクラ大戦」トロコン、活動記録埋まったので感じたことを書いてみる

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拙い文章で読みにくいと思いますが、感じたこと思ったこと書いてみる。前提として、これまでのナンバリングシリーズはすべてプレイ済み(ただしVの記憶はほとんどなし)。

新サクラ大戦 - PS4

新サクラ大戦 - PS4

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: セガゲームス
  • 発売日: 2019/12/12
  • メディア: Video Game
 

まえがき

2018年4月に開催された「セガフェス2018」で発表された「新サクラ大戦*1。この時点での発表は『太正二十九年の帝都・東京が舞台』『サクラ大戦のDNAを受け継ぐ完全新作』『製作総指揮・里見治紀』という情報のみ。

10年以上もナンバリングの新作が出てこなかったシリーズだけに喜ばしい気持ちがある一方で、これまでのキャラクターの扱い、ゲーム内の時間経過による様々な変化、ゲームとしての変化(進化)が一体どうなるのか、と不安な気持ちもあった。

それから約1年後の2019年3月の「セガフェス2019」でキャラクターやメインスタッフの情報、そして世界観などが発表された。

知らない主人公、知らない帝国華撃団メンバー、かつての華撃団が失われているという設定、ゲキテイの変化球、メインスタッフほぼ総入れ替え、あまりの情報量の多さに頭がついていかない。
ただ一つその当時確実に思ったのは「知ってるサクラ大戦ではない」ということだった。

そして発表の場では語られなかったが、インタビュー記事*2で「10年前の“降魔大戦”によりかつての帝都、巴里、紐育の華撃団は消滅」という設定を知る。リブートさせるために設定として旧キャラをこんな形でなかったことにしてしまうこと、作中の歴史としていなくなってしまったこと。これまでの作品の思い出もなかったことにされてしまうようで、とにかくショックだったし、期待より不安の方が大きくなった。

とはいえせっかく出る「サクラ大戦シリーズ」の新作。足を引っ張るようなことをしても仕方ない。主人公・大神一郎の物語は「サクラ大戦4」で既に完結している。これまでのファンも大事だけどアプローチとして新規ファン獲得が大事、というのも充分理解できる。不安な気持ちを押し殺し「サクラ大戦らしさを継承する」という言葉を信じて発売を待った。

発売までの間にもメインスタッフのインタビューや生配信、イベントでの情報解禁などがあり、その都度「新サクラ大戦」に縣ける思いが語られ自分の持っていた不安は少しずつだが解消されていった。

そして2019年12月「新サクラ大戦」発売された。果たしてそれは「サクラ大戦」なのか。

シナリオ

基本的には、花組メンバーが抱える問題を解決し、帝国華撃団としての絆を深めていき街に現れた悪を倒す、というこれまでのシリーズと同じような構図。ただ、このシリーズの主人公といえば転属先では各メンバーから隊長としての信頼はほぼゼロ、というようなところからスタートしていた。今回はどちらかというとメンバーからは受け入れ体制。隊長としてはイージーモードである。

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あまり細かく書くとネタバレになってしまうので上辺だけでさらっと。全体的なシナリオとしては王道。文字通りぶっ飛んだ展開もあり、笑いあり涙ありな「サクラ大戦らしさ」を感じることができた。しかし無理やり凝縮させているかのようなボリューム不足感やご都合主義な急展開に戸惑う場面も。そして未回収の伏線がいくつかあるのが気になった。これはアニメではなく続編で回収されることを願う。

また、花組メンバーそれぞれがメインとなるエピソードが用意されているのもこれまでと同様なのだが、初穂だけメインにしては存在感が薄い展開となっている(初穂メインとは言い難い)のが非常に残念。加えて巫女という魅力的な設定があるにもかかわらずあまり活かされていないように思う。もしかしたら初穂メインと気付かない人もいるかもしれない…。

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本作のメインストーリーは10年前の「降魔大戦」が一つの柱となる。そこで起きた華撃団消滅という事実。それと向き合う神崎すみれの心情を考えるととてもつらい。声優の富沢美智恵さんもインタビューで

自分だけが戻っていいのかという葛藤と、後ろめたさ、そして仲間がいない喪失感が心の中に浮かんできて……。喜びが一転して、まるで裏切り者になったような気分でした

と語っている*3。 12月14日放送のラジオ「アニソン・アカデミー」にゲスト出演した際も『花組を二度裏切ることになった。一度は引退という形での裏切り、そして今回一人だけが生きて帝国華撃団に戻ってきたという裏切り』というようなことを涙ながらに語っていたのが印象的だった。

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キャラクター

キャラクターデザインは藤島康介氏&松原秀典氏コンビではなく「BLEACH」の久保帯人氏が起用された。藤島康介氏のイラストはシリーズ関係なく好きだったので残念な気持ちはあった。「BLEACH」は名前と絵をちょっと知ってるくらいで、久保帯人氏の名前は今回初めて知った。自分には逆にそれが良かったのかもしれない。変に先入観もなく新キャラクターを受け入れることができた。

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セガが総力を挙げる」と明言するだけあって盛り上げようとする力の入れ具合を感じる。メインのキャラクターデザインの久保帯人氏をはじめ上海華撃団を堀口悠紀子氏、倫敦華撃団をBUNBUN氏、伯林華撃団を島田フミカネ氏、その他にもいとうのいぢ氏、副島成記氏ら著名なイラストレーターがキャラクターデザインを手掛けている。とはいえ自分はその部分についてはそこまで気にはしていなかった。好きな人にとっては手に取ってもらえるきっかけにはなっているのだとは思う。

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気になる部分としては、ゲーム内で行われる華撃団大戦では3対3のバトルにもかかわらず、発表されている上海、倫敦、伯林華撃団は二人ずつしか発表されていない。情報解禁時から残りの機体にはどんな人物が乗っているのかと期待していたが、ゲーム中はまったく触れられることなく進行するので最後までモヤモヤした気持ちが残る。ストーリー演出上3体でなければいけない理由もないし、それならば最初から2対2にしておけばよかったのでは、と思わざるを得ない。

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ただ、上海華撃団のキャラデザを担当した堀口悠紀子氏によると未発表のキャラも存在しているらしい。

実は倫敦華撃団のみ公表されているアーサー、ランスロット以外のキャラクターがゲーム中にも顔を出して登場している。4月からのアニメや続編で未発表キャラクターの登場の可能性もありそうだ。

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アドベンチャーパート

主に花組との日常を過ごし、メンバーをはじめ帝劇内の人たちとの信頼関係構築を行っていく。基本的な構造はこれまでと同じものの大きく変わったと思う項目を挙げてみる。

1.キャラクター

表情だけでの感情表現から、より人間らしい感情表現をするようになった。体全体で喜ぶ様子や体からにじみ出る怒りの感情などが読み取りやすくなった分、感情移入もしやすくなった。2Dイラストに愛着がある人は抵抗感あるかもしれないが、最近のゲームでは当たり前の形に落とし込まれていることもあって自分はすんなりと受け入れることができた。

また、感情だけではない。行動や物理的な距離感など文字だけで表現していたものを、しっかりと動きをつけて表現してくれる。そのおかげで隊長の変態っぷりがより際立って見える。

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その一方で、文字だけで声を発しないシーンでは口パク状態になり違和感が生じてしまう。そう、このゲームはフルボイスではない。止まっている画像にメッセージを表示していた従来の形では、文字を読むことに集中できるため違和感はなかった。しかし本作ではキャラクターが動きつつ、字幕程度のメッセージ表示。文字を読むことに気が行ってしまうため、せっかくキャラクターが動いているのに没入感が損なわれてしまう。メインイベント中でもシーンが切り替わると突然口パクになる場面も。せめてストーリー進行上必須のイベントだけでもフルボイスにしてほしかった。

2.自由移動化

従来の移動方法はプレイヤーが行きたい場所を選択し、勝手に主人公が移動していく選択式だった。今回は用意された帝劇内外の3Dフィールドをプレイヤーが自由に動き回ることができる。これまで背景の画像や一部のイベントシーンとして帝劇内部を見ることはできたが、自分自身が操作して行きたい場所に行き「あのイベントはこの場所だったな」「ここはこうなっていたのか」「ここから見える景色はどんな感じ?」と当時を思い出すだけでなく新たな発見もあり、動かしているだけでワクワクした。

ただし、年月の経過や旧メンバー不在という設定により使用されていない場所や行けない場所もある。そういった変化を楽しむこともできるのだが、使われていないメンバーの部屋や作戦司令室の余ったイスなど“そのままの部分”を見ると「彼女たちはもうここにはいない」という切ない気持ちが湧き出てきた。

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また、帝劇以外にも移動可能なフィールドが用意されているが、プレイヤーが視点を自由に変えれるのは帝劇内と帝劇前のみ。他の場所でもぐるぐる見渡してその世界観を楽しみたかったけどそれが叶わずちょっと残念。

3.移動回数撤廃

時間という形で回数制限のあった従来から、それが撤廃された。一部時間制限イベントがあるものの基本的には何度でも自由に行きたい場所へ行くことができる。それに伴ってなのか、どこに誰がいるか、イベントの起こる場所はどこかなどがマップに表示され、キャラクター攻略が簡易化される形となっている。また、イベントが進行してやり直しが利かなくなるような場面では確認を出してくれるという優しい設計に。

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バトルパート

従来のシミュレーションタイプのものからアクションへと大幅に変更がされている。これについては旧シリーズをやってきた人の中でも最も賛否の分かれる部分になるのではなかろうか。特にアクションは得意不得意が影響してしまいゲーム進行で躓く人が出てきてしまうため、ネガティブな意見が出てくるのは仕方のないことだと思う。自分もどちらかというとお菓子ボリボリ食べながらのんびり楽しんできた人なので、アクションゲーム化してしまう抵抗感というのも理解できる。 気になった点をいくつか挙げる。

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1.アクションバトル化

弱攻撃、強攻撃、ジャンプ、必殺技、合体攻撃、回避を駆使して敵を倒すオーソドックスなアクションゲーム。一本道の3Dフィールド内を敵を倒しながら進んでいく。

ド派手なエフェクトや敵を倒す爽快感、合体攻撃ムービーなど見ていて楽しいし動かしていて楽しいのだが、そのド派手なエフェクトのせいで画面が見づらくなってしまう。敵味方関係なくエフェクトに隠れてしまい、むしろ何も見えない。リアルタイムで敵も味方も動き続けるなかで画面が見えなくなるのはアクションゲームとして致命的な気が。

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また、敵をロックオンすることができないため、目的の敵を倒そうと思っても明後日の方向を向いて攻撃してしまうことがよくある。遠距離タイプのアナスタシアとクラリスで先に空中の敵を倒そうと思っても狙ってくれない。さらに近距離タイプのキャラで空中の敵を倒そうと近づいても距離感がわかりにくい。攻撃時に若干の自動追尾してくれているようだが思うように倒せないことが度々起こる。

あと、ゲーム中L1ボタンで瞬時に機体チェンジできるが、「ゲームだから」の理由以外に説明できる理由が欲しい気もする。

2.難易度

バトルパートは降魔と戦うアクションパートと他国の華撃団とポイント制で競う華撃団大戦の2種類ある。前者については、幸い自分はアクションゲームが苦手ではないので割とサクサク進行できたが、体感的には不慣れな人にはちょっと難易度が高いのでは、と思うようなものだった。とはいえ体力がゼロになると機体が補強(パワーアップ)された状態で挑むことができるので、諦めずにプレイし続けていればクリア自体は可能なはず。

後者の華撃団大戦では限られた時間の中でいかに敵を早く、そして多く倒すかが問われる。アクション苦手な人はまずここで躓くことになると思う。初回プレイでは自分も結構ギリギリ勝つことができた。そういう意味では自分には程よい難易度だったかもしれない。

3.キャラクターバランス

使える機体は全部で6+1種類。それぞれ異なる性能を持っており、敵や状況に応じて機体チェンジで応戦することになる。が、遠距離タイプのアナスタシアが飛び抜けて強い。とりあえずアナスタシアを選んでおけば安泰。同じ遠距離タイプのクラリスは逆に使いづらく弱い部類と言える。他の機体は弱いわけではないがアナスタシアが強すぎて他が弱く見えてしまう。

正直初穂、あざみ、クラリスは使い所がほとんどなかった。

総評

サクラ大戦らしさ」ってなんだろう。太正浪漫、LIPS、蒸気機関、霊力、アニメのようなエピソード展開、おバカっぽい要素、正義感あふれる変態隊長…たぶん挙げていけばキリがないし人によって挙げるものも変わってくる。定義づけるのは難しい。

でも「新サクラ大戦」をプレイして感じたのは「思ってた以上にサクラ大戦らしい」ということだった。

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「リブートなのだから旧キャラ出さないで」「サクラ大戦なんだから旧キャラ出してほしかった」、わかる、わかるよ。どっちの気持ちもわかるんだよ。

バトルパートについてはアクションゲームとしての作り込みが甘く改善してほしい部分も結構あるし、シナリオも旧作プレイしている人間からするとショックだったり詰めが甘く疑問に思う部分もある。でも少なくとも自分は「サクラ大戦らしさ」を感じたのも事実。思い入れが強い作品だけについ旧作と比較してしまうけれど、「新サクラ大戦」として息の長い作品シリーズになってほしいと思っている。

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  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: セガゲームス
  • 発売日: 2019/12/12
  • メディア: Video Game
 
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  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/02/21
  • メディア: 単行本
 
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