はじまりはビープ音

ドリームキャストのことを中心にゲーム関係の気になったことを書いていくつもりです。

ドリキャス版「ELYSION 〜永遠のサンクチュアリ〜」に18禁の内容で遊べる状態のデータが発見される

18禁PCゲームの移植タイトル「ELYSION 〜永遠のサンクチュアリ〜」で、残し忘れとはいえないレベルのものが残ってました。「僕と、僕らの夏」に収録されていた18禁画像なんて生ぬるいものでした。

ドリームキャストには18禁ソフトは存在しません

以前も書きましたが前提知識として一応。

ドリキャスには18禁ソフトは存在しません。あるのは全年齢対象のほかに12才以上対象、15才以上対象、18才以上対象(当時のCEROレーティング)のソフトであり、年齢による販売を制限するものではありません。

18禁のPCゲームがドリキャスに移植された例はいくつもありますが、その全ては移植するにあたって18禁要素は削除・修正されているため、18禁として発売されたものはありません。

ELYSION 〜永遠のサンクチュアリ〜」とは

元々は2000年にWindows向けに発売された18禁の恋愛アドベンチャーゲーム。コンシューマ機への移植としてはNECインターチャネルから2002年7月25日にドリキャス、2003年5月1日にPS2で発売。移植にあたって新ヒロイン・シナリオ追加、18禁要素の削除・修正されています。そう、18禁要素の削除・修正されていると思っていました。

ちなみに全年齢対象のソフトですが、ドリキャス版では普通にプレイしててもパンチラCGくらいは出てきます(PS2版は未確認)。

PC版18禁シーンのデータが発見される

ドリキャスを中心に解析しているjde6r8hed氏によってPC版のデータが収録されている事が発覚。

確かにスクリプトデータ(シナリオテキスト)を覗いてみると、それらしきものがハッキリ残っていることが確認できます。これだけならゴミデータとして残っていてもまだ理解できる範囲ではあります。

しかし、jde6r8hed氏はテキストだけでなく画像や音声も残っていることを発見し、さらにスクリプトデータを弄ることでPC版のルートへ移行させることに成功。

※当方にてモザイク加工

ただし、完全にPC版と同じではなく、一部の選択肢やテキストが削除されているため、まるごと残っているというわけでもなさそうです。

浮かび上がるいくつかの疑問

当時の検閲はゆるゆるだったのか

元々ドリキャスにおいてはセガ内部の倫理審査機構によってレーティング審査が行われていましたが、2002年6月にはレーティング機構CEROが設立され同年11月に審査機構はセガからCEROへと移管されることになったようです*1。2001年1月にドリキャスの製造終了を発表していたので、それ以降から移管までの期間にクローズに向けて社内体制の縮小は容易に想像できます。

また、本ソフトの他にも2002年9月26日発売の「僕と、僕らの夏」にも18禁画像が収録されていたり、同年6月27日発売の「同窓会2 again & refrain」にはシナリオと音声が収録されていることも判明しています。

pomegd.hatenablog.com

それらのことから、2002年という時期は移管のゴタゴタや社内的な規模縮小の影響からか審査・検閲が行き届いていなかった可能性があるかもしれません。憶測でしかないですが。

少なくともシナリオテキストは暗号化や圧縮されることもなく生のテキストで残っているのに、それすら見逃してしまうのは審査・検閲がしっかり機能してたとは言えないでしょう。

なぜ一部だけの削除だったのか

前述の通り、一部の選択肢やテキストは削除されています。つまり、移植にあたって削除作業自体は行われていたことがわかります。一方で残すべきでないものが大量に残っているのはなぜなのか疑問が残ります。

もちろんスクリプトで18禁シーンに進行しないように制御しており、通常プレイでは絶対に18禁シーンに辿り着くことはできないので全削除は必ずしも必要ないかもしれません。また、ドリキャスの場合、GD-ROMというメディアの特性上、通常は収録されているデータはユーザーには見られない領域のものなので、本来であればこのようなデータが収録されていても気付かれることはないでしょう。

しかし2002年という時期はすでにGD-ROMの吸い出し方法が確立されているので、データを覗かれる可能性を考慮せず残しておく、というのは相当リスクのある行為だと思います。

最後に

ドリームキャストへ移植するにあたって、内容の削除・修正されたタイトルはいくつもあります。モノによっては移植のためにゲームの設定自体を大幅に変えているものもあります。そんな中、今回の「ELYSION」のようなものがあると、メーカー同士の信頼関係にも影響すると思うのですが、NECインターチャネル(現インターチャネル)さん、大丈夫ですか。まぁ20年も前のものなので時効ですかね。

なぜこんなことになっているのか、当時の移植担当者さん、見てたら匿名でもいいので情報提供お待ちしてます

もしかしたら同時期の移植タイトルは他にも同様の“残骸”があるかもしれませんね。